【例文+雛形ダウンロード】補助金の稟議書の書き方は?社内で「補助金活用」を提案するポイントと実例

「補助金を使ってITツールや設備を導入したい」

そう考えたとき、最初に立ちはだかるのが社内での稟議です。

補助金は、うまく活用すれば自己負担を抑えて設備投資や業務改善ができる非常に魅力的な制度です。
ですが、いくら補助金によって費用が軽減されるとはいえ、会社の資金を使う以上、社内での承認=稟議が必要になるケースも、会社によっては珍しくありません。

そこで悩みの種となるのが、「そもそも稟議書ってどう書けばいいの?」「何をどう説明すれば上司に伝わるの?」という点。
実際に多くの現場で、補助金申請の前に、稟議で止まるというケースが見られます。

そこで今回は、

  • 補助金を活用する際に稟議書に盛り込むべき要素
  • 説得力を高める書き方のポイント
  • そのまま使える雛形&文例集

をわかりやすく解説します。

社内提案が初めてという方でも、「これなら通る!」と思える稟議書を作れるよう、この記事がお役に立てれば幸いです。

目次

稟議書が必要な理由とは?なぜ“補助金活用”でも必要になるのか

補助金というと、「国や自治体が費用を出してくれるお得な制度」というイメージが先行しがちですが、実際の仕組みはもう少し複雑です。

まず前提として、補助金は“何か事業を実施すること”が求められる制度です。
たとえば、

  • 業務効率化のためのITツールの導入
  • 製造現場の自動化を進めるための設備更新
  • 顧客獲得のためのウェブサイト制作や広告展開

といった、明確な取り組みを実施し、それに対して申請・審査を経て「採択」されて初めて、補助金が交付されます。

つまり、補助金を活用する=一定の事業投資を実行するという意思決定が伴うわけです。
そのため、たとえ一部が補助されるとはいえ、事業費用に関しては社内の決裁=稟議書の提出が必要になるケースが大半です。

補助金は“後払い”制度。まず自社で全額を支出する必要がある

補助金制度の多くは「後払い(後精算)型」です。
これはつまり、

  1. 申請後に審査を経て採択され
  2. 自社で事業を全額自己負担で実施
  3. 実施報告書を提出して初めて
  4. 経費の一部が補助金として後から戻ってくる

という流れです。

そのため、最終的に経費の一部が補助金で補填されるとしても、一時的には“全額を立て替える”用意が必要です。

だからこそ、稟議書で「負担額」「導入内容」「目的」の明示が重要に

補助金活用には

  • 事業の実施が大前提
  • 全額を一時的に自社で支払う必要がある
  • 補助金が交付されるのは採択&実施報告後

という3つの重要なポイントがあります。
これらを正しく理解し、

「なぜこの事業を実施したいのか」
「いくらかかり、どれくらい戻ってくるのか」
「どんな効果があるのか」

を整理したうえで稟議書にまとめることが、社内承認を得るうえで欠かせないのです。

【例文付き】補助金活用を社内で提案する時、稟議書に書くべき内容とは?

補助金の稟議書には、特有の構成と押さえるべきポイントがあります。
ここでは、以下に掲載した稟議書雛形をもとに、各項目ごとに書き方のポイントや注意点を詳しく解説していきます。

補助金活用の稟議書テンプレート(雛形)ダウンロード

弊社の補助金申請サポートをご利用頂く際の社内稟議書テンプレートです。
こちらからダウンロードしてご利用いただけます。(Googleドキュメント形式)

▶ 稟議書テンプレートはこちら

【1】起案日・決裁希望日・部署・氏名

これらは稟議書の基本情報です。中でも「決裁希望日」は補助金活用において特に重要です。

補助金には公募締切日が設定されており、申請前に社内決裁が終わっていないと間に合いません。
さらに、申請にあたっては 必要書類の取得や申請内容の検討、事業計画の作成といった準備作業にも一定の時間がかかります
また、電子申請など制度上の手続きにも数日~1週間程度を要することもあります。

したがって、「いつまでに稟議を通す必要があるか」から逆算して、十分な準備期間を確保できるよう余裕を持った決裁希望日を設定しましょう。

【2】件名:何の補助金を使って、何をしたいのか

件名は稟議書の中でも最初に目に入る項目です。
ひと目で「何の補助金を使って、どんな取り組みをしたいのか」が分かるように、補助金の種類と導入対象を具体的に記載することが大切です。

抽象的な表現よりも、「補助金名+導入対象」や「補助金名+目的」のように書くことで、読み手が内容をすぐに把握でき、承認判断もしやすくなります。


良い件名の例:

  • IT導入補助金2025を活用したクラウド会計ソフト導入について
  • 小規模事業者持続化補助金を活用したWebサイト制作について
  • 事業再構築補助金を活用した新製造設備導入について

※長くなりすぎる場合は、最低限「補助金名+導入対象」の形を意識すると伝わりやすくなります。

【3】内容:金額、補助スキーム、導入予定の概要をまとめる

内容欄は、稟議書の中でも最も重視されるパートです。
ここでは、「何に対して、いくらかかり、そのうちいくらが補助されるのか」というお金の流れと導入内容の全体像を、簡潔かつ具体的にまとめる必要があります。

読み手(上司や決裁者)が「いくらの投資で、何が得られて、どれくらい補助されるのか」をすぐに把握できるように書いていきましょう。


何をどこまで書けばいいのか?ポイントは「具体的でありながら簡潔に」

「なるべく詳しく説明したいけど、書きすぎると長くなるし、どうすれば?」
そう悩む方も多いと思いますが、基本は以下の4点を押さえると整理しやすくなります。

  1. 補助金の種類と目的
     → 「IT導入補助金2025を活用し、業務の効率化を目的として…」
  2. 導入するツールや設備の名称と概要
     → 「顧客管理システム『SalesX』の導入を行います」など。商品名まで書くと明確。
  3. 費用の内訳(概算)と補助金スキーム
     → 合計金額・補助額・実質負担額を数字で明記
     → 「ツール・導入費用:80万円/補助金予定額:53万円/実質負担額:27万円」
  4. 申請サポートの有無と支援事業者の情報(あれば)
     → 「着手金0円・成功報酬型のサポートを採択実績のある企業に依頼予定」など

✔ 書き方の例

IT導入補助金2025を活用し、顧客管理システム「SalesX」を導入します。
本ツールは、見積管理・顧客履歴・売上分析を一元管理できるクラウド型サービスです。
費用合計:800,000円、補助金額(見込み):533,000円、実質負担額:267,000円となります。
申請手続きについては、採択実績のある支援事業者に依頼し、着手金不要・成功報酬型の支援プランを活用予定です。


💡 ワンポイントアドバイス:

  • 製品名を出すか迷ったら「出す方が親切」です。稟議の確認者が内容を理解しやすくなります。
  • ただし、細かいスペックや契約条件などは別紙添付に回し、本文では要点に絞るのがベターです。
  • 数字は「合計金額」「補助金額」「実質負担額」の3つがそろっていると、非常に伝わりやすくなります。

【4】目的:なぜこの導入が必要なのかを明記する

「なぜこのタイミングで、そのツールや設備を導入するのか?」という理由を、簡潔かつ具体的にまとめます。社内の実情や、現場で抱えている具体的な課題を踏まえたうえで、導入によってどう改善されるかを示すのがポイントです。

ただし、稟議書の目的欄にあまり多くの情報を詰め込みすぎると、かえって読みづらくなってしまうこともあります。その場合は、稟議書では要点だけを簡潔にまとめ、詳細な背景や効果見込みなどは別途社内説明用の資料にまとめて添付するのがおすすめです。

書く際のポイント

現状の課題と、導入による変化をセットで書く
「現状では〇〇の手作業に時間がかかっている → 自動化により××時間の削減を見込む」

課題・目的が複数ある場合は、箇条書きで整理してもOK
 1つ1つを簡潔に書き、全体としての導入意義を伝える構成が効果的です。

文章量が多くなりすぎる場合は、稟議書では簡潔に記載し、別途「社内説明資料」で詳細を補足するという方法も有効です。
 例:提案資料・申請計画書などを添付


✔ 書き方の例

  • 業務効率化・生産性向上を実現するため。
     現状、見積書の作成に毎回手作業で時間がかかっており、属人化も進んでいる。クラウド見積作成ツールを導入することで、作業の標準化・時間短縮が可能となる。
  • デジタル化による顧客サービス品質の向上のため。
     問い合わせ履歴や対応状況が部署ごとに分断されており、対応の重複・抜け漏れが発生している。CRM導入により、対応状況の一元管理と即応体制の構築を目指す。
  • テレワーク環境の整備・働き方改革を推進するため。
     請求書発行や支払い確認などが出社前提で行われており、テレワークの障壁となっている。クラウド会計システムの導入により、遠隔からの処理を可能にする。

補助金活用の稟議書の記入例

以上をふまえて、実際の稟議書の具体例をご紹介しましょう。
弊社の雛形をベースにしながら、各項目に何を書けばよいのかを具体的に解説していきます。

補助金活用の稟議書テンプレート(雛形)ダウンロード

弊社の補助金申請サポートをご利用頂く際の社内稟議書テンプレートです。
こちらからダウンロードしてご利用いただけます。(Googleドキュメント形式)

▶ 稟議書テンプレートはこちら

今回は、「IT導入補助金を活用したツール導入」を想定して記入していきます。

起案日、決裁希望日、部署、氏名

起案日:2025年7月7日

稟議書を起案した日を記入します。

決裁希望日:2025年7月31日

決裁希望日は、7月31日としました。IT導入補助金2025の第5次締切(9月22日)での申請を念頭に、8月に申請準備をするとして、7月いっぱいで社内の検討を済ませて決裁を得たい考えです。

部署:EC事業部

起案者の部署名を記入します。今回はEC事業部としました。

氏名:田中太郎

起案者の氏名を記入します。

件名:補助金名+実施事業でわかりやすく

件名:IT導入補助金2025を活用した「ネクストエンジン」の導入

今回は、「IT導入補助金2025」を使って、EC運営ツールの「ネクストエンジン」の導入を提案する内容とします。

⇒IT導入補助金について、詳しくはコチラ
⇒ネクストエンジンについて、詳しくはコチラ

内容:予算、補助額、実施内容を具体的に

IT導入補助金2025を活用し、クラウド型EC運営ツール「ネクストエンジン」を導入します。
ツール・導入費用 合計:880,000円
補助金額(見込み):586,000円
実質負担額:294,000円

申請サポートについては2024年度の採択率92.2%(採択実績100件以上)のパークフィールド株式会社に依頼します。

申請サポート費:補助金額の15%(最低20万円)
事業実績の申請サポート費:一律 5万円
※着手金0円・成功報酬型(採択後支払い)

サービス内容
・情報連携型「申請準備フォーム」で簡単申請準備をサポート
・納税証明書・履歴事項全部証明書の無料取得代行サービス
・Zoom伴走による申請時のライブサポート

金額面は「合計金額・補助金見込み・実質負担額」の3点をセットで明記します。
また、補助金の支援事業者についても、その事業者の選定理由を具体的に明記しておきましょう。

補助金額の算出には、弊社の「補助金診断」をご活用下さい

補助金額の算出には、補助金の詳しい知識が必要となります。そこで弊社では、希望予算額に基づいて補助金額を自動的に算出する「補助金診断」をご提供しています。どなたでも無料で、何度でもご利用いただけます。お気軽にご活用下さい。

⇒補助金無料診断はコチラから

目的:簡潔な箇条書き+補足で

・ECのルーティンワークを自動化し、生産性向上を実現するため。
・デジタル化による顧客サービス品質の向上のため。
・仕入れ発注および在庫管理業務の属人化を解消するため。
・将来の多店舗展開に向けた一元管理体制を整えるため。

目的欄はあくまで概要程度に留めて、詳細な説明は別途資料にて行う方針としました。その場合、こうした箇条書きの列挙でも十分です。ただし、「デジタル化による顧客サービス品質の向上とは?」といった質問に、しっかり答えらえるように準備しておきましょう。

添付資料:詳細な検討に必要な資料を添付

IT導入補助金2025 申請方法のご案内 https://cutt.ly/6e524noc
日程や補助対象経費、申請可能なITツールをご案内しています。

機密保持契約書(雛形) https://cutt.ly/PrixysH1
申請サポートに際し、機密保持契約の締結が必要であれば締結します。

パークフィールド株式会社 会社案内 https://cutt.ly/SeUVuyc4
20年以上にわたりITサービス業界での豊富な経験と実績を持つ会社です。

制度の概要資料、支援企業の信頼性を示す資料などをまとめて提示しましょう。稟議書の中で説明しきれなかった詳細について、社内資料を作成してあれば、それもここに記載します。

上司の質問にどう答える?稟議書提出後の社内説明と伝え方のコツ

稟議書を提出したあと、上司や決裁者から内容について確認や質問を受けることは珍しくありません。特に補助金を活用する提案は、「制度の仕組みが複雑」「補助金自体が馴染みがない」といった理由から、確認されやすい内容がいくつかあります。そうした質問にもしっかりと受け答えできるよう、社内説明のポイントをご案内していきます。

●「補助金ってちゃんともらえるの?採択されないこともあるのでは?」

意図:制度の信頼性や成功確率に対する懸念

説明のポイント:

  • 補助金は申請後に審査があるが、要件や形式をきちんと満たせば、一定の採択率が見込めること
  • 採択実績のある支援事業者を活用することで、申請精度や通過率が高まること
  • 採択されなかった場合は「実施を見送る」などリスク対応の方針を事前に説明しておくと安心感を与えられる

回答例:

「はい、申請後に審査はありますが、内容が要件に沿っていれば採択される確率は高いです。
今回は、採択実績のある支援事業者と一緒に進めますので、形式面でも安心できます。
もちろん、万が一採択されなかった場合は、導入を一旦見送る方針で整理しています。」


●「補助されるのは一部だけでしょ?残りは会社で負担するの?」

意図:自社の資金負担に対する理解確認

説明のポイント:

  • 補助金は“全額負担がなくなる制度”ではなく、自己負担を抑えつつ事業投資を進められる制度であることを明確に伝える
  • 今回の提案でどれくらいの実質負担になるか、稟議書に記載した金額をもとに再説明する
  • 仮に通常は全額支出が必要な設備・IT投資が、2分の1や3分の1の負担で済むことの“費用対効果”を強調

🗣 回答例:

「はい、補助率は3分の2までなので、今回でいえば実質の負担はおよそ27万円になります。
通常は全額を自社で負担するところを、約3分の1で済むので、かなり投資効果は高いと考えています。」


●「いま導入する必要があるの?もう少し先でいいんじゃない?」

意図:タイミングの妥当性・優先度の確認

説明のポイント:

  • 補助金には公募スケジュールがあり、今回のタイミングを逃すと次回まで待たなければならないことを説明
  • 自社の現状課題(業務負担・コスト・属人化など)を踏まえ、「今だからこそ効果的」である理由を短く補足
  • 可能であれば、今導入しないことによる“見えない損失”にも触れておく

回答例:

「実はこの補助金は応募期間が決まっていまして、今回を逃すと次は数か月先になってしまいます。
また、現在の業務課題にもすぐ対応したい内容なので、今回が最適なタイミングと考えています。」


●「申請って面倒じゃない?社内でけっこう手間がかかるんじゃないの?」

意図:担当部門や総務の負担への懸念

説明のポイント:

  • 申請手続きは支援事業者が伴走してくれる体制があり、社内の作業負担は大幅に軽減されること
  • 税務書類や法人証明書なども代行取得してもらえるプランを利用している場合は、そのことも共有
  • サポートの充実した支援事業者に依頼することで、通常業務に支障が出ないことを説明

回答例:

「実はそこは支援事業者にかなりサポートしてもらえる体制になっています。
書類の取得代行や申請フォームの作成もお願いできるので、社内でやるのはごく一部だけで済みます。
通常業務に実質的な支障は出ないと考えておりますので、ご安心下さい。」

まとめ:補助金活用の稟議書のコツ

補助金は、上手に活用すれば自己負担を抑えて、業務改善や設備投資を実現できる強力な制度です。
ただし、その第一歩は「社内の稟議を通すこと」。つまり、社内の理解と承認を得るプロセスが鍵になります。

この記事では、補助金の稟議書に盛り込むべき項目や書き方のポイント、実例、そして説明時の伝え方まで詳しく解説してきました。

あらためて、押さえておきたいポイントは以下の通りです:

  • 稟議書には、「導入目的」「費用と補助スキーム」「申請スケジュール」など、読み手に伝えるべき情報を簡潔に整理する
  • 導入の背景や必要性は、現場の課題と結びつけて具体的に書く
  • 社内説明では、事実と制度に基づいた丁寧なやり取りを意識する

補助金の申請には期限があります。
「やっておけばよかった」と後悔しないよう、まずは稟議書の準備から一歩踏み出してみましょう。

補助金活用の稟議書テンプレート(雛形)ダウンロード

弊社の補助金申請サポートをご利用頂く際の社内稟議書テンプレートです。
こちらからダウンロードしてご利用いただけます。(Googleドキュメント形式)

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稟議書の準備が整ったら、次は実際の申請へ。
補助金は書類の準備や手続きが複雑になりがちですが、専門の支援事業者と連携することで、スムーズかつ安心して進めることが可能です。

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