EC事業者向けクラウド会計ソフト3選を比較!freee・弥生・マネーフォワードのEC連携と補助金活用
ECサイトやネットショップを運営していると、売上や仕入の記帳、入金確認などの会計処理に多くの時間を取られます。モールや自社サイト、複数の決済サービスを併用している場合、それぞれのデータを手作業で集計する必要があり、経理担当者の負担は大きくなりがちです。
近年は、こうした作業を効率化するためのクラウド会計ソフトが広く利用されるようになりました。freee、弥生、マネーフォワードなどの主要なクラウド会計では、ECモールやカートシステムと連携して、売上や入金、手数料の情報を自動で取り込むことができます。
これにより、取引データを一件ずつ入力する作業を大きく減らすことが可能です。
クラウド会計の導入は、経理の効率化だけでなく、経営判断のスピード向上にもつながります。売上や費用をリアルタイムで把握できれば、在庫調整や広告費の見直しなどをタイムリーに行うことができます。
また、こうしたクラウド会計ソフトの導入による業務改善は、IT導入補助金の補助対象となります。
本記事では、中小規模のEC事業者を対象に、主要なクラウド会計ソフト3製品のEC連携機能を比較し、導入時の注意点や補助金の活用方法を紹介します。
「エクセル管理」では無理がある!EC事業の会計業務
EC事業の会計業務は、「エクセル管理」では現実的ではありません。いくつか主な課題を確認してみましょう。
膨大な件数が日々発生
EC事業では、日々の取引件数が多く、会計処理に必要なデータも多岐にわたります。1件あたりの金額は小さくても、受注件数が多ければ経理作業の量は膨大になります。
電子マネー、後払い…多様な決済、どう仕分けする?
クレジットカード、電子マネー、後払い、ポイント利用など、決済方法が多様化しており、それぞれの取引を正確に仕訳する必要があります。
多店舗ECの売上データ集計
モールやカートシステムを複数利用している場合は、売上データや手数料明細をそれぞれの管理画面から取得し、集計しなければなりません。決済代行会社や配送サービスを組み合わせている場合、入金や費用のタイミングも異なります。
「エクセル管理」では、ECの会計業務はトラブル続きに
このような環境では、Excelなどで手作業により帳簿を作成していると、入力漏れや金額のズレが起こりやすくなります。こうした課題を背景に、クラウド会計ツールの導入がEC事業者の間でも広がりはじめています。
クラウド会計ソフトを活用すれば、取引データの自動取得や仕訳ルールの自動化が可能になり、日々の経理作業を効率的に行うことができます。経理担当者の負担を減らし、事業の成長に関わる業務へ時間を振り向けるためにも、クラウド化は重要な選択肢の一つといえます。
クラウド会計ソフトで「ECデータ連携」が進む理由
クラウド会計ソフトは、もともと銀行口座やクレジットカードの明細を自動取得し、仕訳を自動生成できる点が特徴でした。この仕組みを応用し、近年ではECモールやカートシステムとの連携にも対応が広がっています。取引データを自動で取り込む仕組みが整ったことで、EC事業の会計処理もクラウド上で完結できるようになってきました。
背景にあるのは、ECプラットフォーム側のAPI公開や外部連携機能の整備です。たとえば、楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング、Shopifyなどの主要サービスでは、外部ツールとデータを共有できる仕組みが整っており、クラウド会計ソフト側でもこれらのAPIに対応するアプリやプラグインを提供するようになっています。
また、会計ソフトを単なる記帳ツールではなく、「業務全体のデータ連携基盤」として活用する動きも進んでいます。売上や仕入のデータを会計ソフトに自動反映させることで、試算表やキャッシュフローの把握をリアルタイムに行えるようになり、在庫管理や広告運用などの経営判断にも活かしやすくなります。
EC事業者がクラウド会計を導入するメリット
クラウド会計ソフトを導入する最大の利点は、経理作業を自動化し、日常業務の効率を大きく高められる点にあります。単なる会計ツールではなく、EC事業の運営を支える業務基盤として機能します。
自動で正確な会計業務
売上や入金データを自動で取り込むことで、取引情報の入力作業をほぼなくすことができ、ミスの発生も減少します。手作業での記帳や確認に費やしていた時間を、在庫管理や販売施策など、より重要な業務に振り向けることが可能になります。
リアルタイムでの経営把握
取引データが日々反映されるため、現時点の売上・費用・利益を即座に確認できます。これにより、広告投資の効果測定や、仕入れタイミングの調整などをデータに基づいて判断できるようになります。
税理士事務所とのオンライン連携
さらに、会計データをクラウド上で共有できるため、税理士事務所との連携もスムーズです。データのやり取りに手間がかからず、同じ情報をリアルタイムで確認できます。
クラウド会計ソフトのEC連携機能を比較
それでは、主要なクラウド会計ソフトである「freee会計」「弥生会計」「マネーフォワード」のEC連携機能を比較してみましょう。
会計ソフト | 主なEC連携機能 | 連携方法 | 特徴 |
---|---|---|---|
freee会計 | ECモール、カートシステムとの自動連携(カラーミーショップ、Shopifyなど) | API連携/アプリストア経由 | EC売上・送料・割引・税率を自動取得。受注データの自動記帳が可能。 |
弥生会計Next | EC購買・EC出品・決済代行データの連携(STORESなど) | 外部サービス連携設定 | 税理士・会計事務所との連携実績が豊富。クラウド版でEC連携機能を強化。 |
マネーフォワード クラウド会計 | ECサイトの売上・仕入データ、証憑(領収書・請求書)の自動取得 | API連携/証憑自動取得機能 | Amazon・楽天市場など主要ECに対応。電子帳簿保存法・インボイス制度に対応。 |
3つのクラウド会計ソフトはいずれもECとのデータ連携機能を備えていますが、それぞれの強みは異なります。
- freee会計:ECシステムとの接続性が広く、受注データの自動記帳までを一体的に処理できる
- 弥生会計:従来の会計基盤に外部連携機能を拡張した構成で、既存の弥生利用者や税理士との連携を重視
- マネーフォワード:証憑データの自動取得を中心に、電子帳簿保存法などの制度対応を含めたトータルな経理デジタル化に強み
それぞれの特長をもう少し整理してみましょう。
freee会計の特長
freee会計は、EC連携の柔軟性が高い会計ソフトです。
- カラーミーショップやShopifyなど、主要カートシステムとのAPI連携が可能
- 売上・送料・割引・税区分を自動で取り込み、仕訳処理を自動化
- アプリストアにEC関連アプリが多数あり、受注・在庫管理との連携も容易
- 設定時に勘定科目や取引区分の整理が必要
- 複数モール運営の場合は、一元管理ツールとの併用が効果的
弥生会計の特長
弥生会計は、定番の弥生シリーズをクラウド化した製品で、安定性とサポート体制に強みがあります。
- POSレジやEC購買・決済代行サービスと連携可能
- STORESなど主要ECとの自動売上連携をサポート
- 税理士や会計事務所との共有が容易で、既存環境からの移行がしやすい
- 連携対象モールには制限があり、CSV取込で補完が必要な場合もある
マネーフォワードの特長
マネーフォワード クラウド会計は、証憑自動取得と電子帳簿保存への対応力が高いサービスです。
- Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどのECモールに対応
- 取引明細とともに領収書・請求書を自動取得・保存
- 電子帳簿保存法・インボイス制度に対応
- 金融機関・クレジットカードとの連携範囲が広く、会計データの統合管理に適する
- 初期設定にやや手間がかかるが、一度整えると安定運用が可能
EC事業における、クラウド会計導入時の注意点
クラウド会計ソフトを効果的に活用するためには、実務上、さまざまな注意点もあります。
事前の運用設計
クラウド会計ソフトを導入する際は、事前の設計と運用ルールの整理が重要です。連携機能を活用することで多くの作業を自動化できますが、初期設定を誤るとデータの整合性が取れなくなる場合があります。
取引データの仕訳
取引データをどのように仕訳するかを明確にしておくことも大切です。送料、決済手数料、クーポン割引、ポイント利用など、EC特有の取引をどう処理するかを決めておくと、記帳内容のばらつきを防げます。また、返品や返金の処理方法もあらかじめルール化しておくと、月次集計の精度が安定します。
多店舗ECの場合、データの一元化も
複数のモールやカートを利用している場合は、一元管理システムの併用を検討すると効果的です。freee会計やマネーフォワード クラウド会計などでは、受注管理システムを経由してデータを取り込む構成が一般的です。これにより、売上・入金データの二重登録や取引漏れを防ぐことができます。
税理士や会計事務所との連携
税理士や会計事務所との連携体制も導入前に確認しておくと安心です。クラウド版に対応していない事務所もあるため、使用するソフトやデータ共有方法を事前に共有しておくと、導入後のトラブルを防げます。
運用が軌道に乗るまで、最初の数ヵ月が重要
運用が軌道に乗るまでの間は、定期的に自動仕訳の内容を確認し、誤った仕訳がないかをチェックすることも重要です。自動化された仕組みを正確に維持するためには、最初の数か月間にルールを固めておくことが効果的です。
IT導入補助金を活用してクラウド会計を導入する
クラウド会計ソフトやECデータ連携システムの導入は、IT導入補助金の対象となる場合があります。IT導入補助金は、中小企業や個人事業主が業務効率化やデジタル化を進めるために、ソフトウェア導入費用の一部を国が支援する制度です。
クラウド会計ソフトの導入が補助対象となるのは、「業務効率化」や「データ連携による生産性向上」を目的とした場合です。特に、会計とECシステムを連携させる構成は、販売管理・経理業務の効率化として評価されやすい傾向があります。
補助金の主なポイント
- 補助率:導入費用の最大2分の1(上限は通常枠で数十万円程度)
- 対象経費:クラウド会計ソフトの利用料、導入支援サービス、データ連携設定など
- 申請主体:事業者自身が申請を行うが、登録された「IT導入支援事業者」が手続きをサポート
申請から導入までの流れ
- IT導入支援事業者へ相談
自社の業務内容や課題を共有し、補助対象となるソフトや導入計画を確認します。 - 導入計画と見積の作成
クラウド会計ソフトの導入目的や期待効果を整理し、事業計画を策定します。 - 必要書類等の用意
補助金申請に必要な書類等を用意します。 - 申請書の提出と審査
公募期間中に電子申請を行い、採択結果の通知を待ちます。 - 導入・運用開始
採択後にソフトを導入し、運用開始後に「実施報告」を提出して補助金を受け取ります。
活用のポイント
- 補助金の対象となるソフトは、国に登録されたITツールに限られます。
- 単体の会計ソフト導入だけでなく、ECデータ連携や販売管理機能との組み合わせも評価されやすい構成です。
- 申請には一定の準備期間が必要なため、導入時期から逆算して早めに相談を進めることが望ましいです。
IT導入補助金を活用すれば、初期費用を抑えてクラウド会計を導入できます。自社の業務に合ったソフトを選び、データ連携による効率化を具体的に計画することで、審査通過の可能性も高まります。
ネクストエンジンとクラウド会計の連携
EC運営の効率化ツール「ネクストエンジン」は、複数モールの受注や在庫、出荷管理を一元化できるクラウド型システムです。楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング、自社サイトなど、複数チャネルで販売を行う事業者にとって、日々の受注処理を効率化する代表的なツールの一つです。
近年では、このネクストエンジンとクラウド会計ソフトを連携できる仕組みも整いつつあります。freee会計やマネーフォワード クラウド会計では、ネクストエンジン経由で売上データや決済情報を自動で取得し、仕訳処理に反映させることが可能です。これにより、販売データと会計データを連動させ、経理作業をさらに効率化できます。
ネクストエンジンは、ECの受注・在庫・出荷を「現場の管理基盤」として支える一方、クラウド会計ソフトはその情報を「会計・経営データ」として活用する役割を担います。この二つを組み合わせることで、販売から会計までを一連の流れとして自動化できる環境が整います。
IT導入補助金で、ネクストエンジン+クラウド会計を同時に申請することも
また、両システムを同時に導入する場合は、IT導入補助金であわせて申請することが可能です。どちらも国の「ITツール登録」対象となっており、業務効率化やデータ連携を目的とした導入計画として申請できます。
まとめ:EC×クラウド会計で、ECの経営基盤を強化
EC事業では、売上・仕入・手数料・送料など、日々の取引データが膨大になります。こうした情報を正確かつ効率的に処理するには、クラウド会計ソフトを活用した自動処理化が効果的です。
freee会計、弥生会計、マネーフォワード クラウド会計などの主要サービスでは、ECモールやカートシステムと連携し、自動で取引データを取り込める仕組みが整っています。さらに、ネクストエンジンなどの受注・在庫管理システムと組み合わせることで、販売から会計までのデータを一気通貫で管理できます。
このような仕組みを導入することで、経理業務の負担を減らすだけでなく、リアルタイムに経営状況を把握できるようになります。
クラウド会計ソフトやネクストエンジンの導入は、IT導入補助金の対象にもなります。補助金を活用すれば、初期費用を抑えながらシステムを整備できるため、導入のハードルを下げることができます。EC事業の基盤を強化し、業務効率化を進めたいと考える事業者にとって、今が取り組みの好機といえるでしょう。
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