なぜ商品マスタはぐちゃぐちゃになるのか?多店舗EC運営の商品コード管理術

多店舗でECを運営していると、こんなやり取りに心当たりがないでしょうか。
「Tシャツの赤を1つ発注してください」と頼まれても、「どのブランドですか」「サイズはどれですか」「赤いTシャツは3種類あるのですが、どれでしょうか」と聞き返さなければならない状態です。
これが商品マスタが崩壊しているサインです。
商品コードは、本来こうした取り違えを防ぐために存在します。商品を一意に特定できるコードが機能していれば、発注も出荷も在庫確認も、コード一つで完結するはずです。ところが多店舗運営を続けているうちに、いつの間にかこの前提が崩れてしまう事業者は少なくありません。
なぜ多店舗運営で商品マスタは崩壊するのか、3つの原因
崩壊の原因は、単なる担当者の不注意ではなく、多店舗運営という業態そのものに組み込まれた構造にあります。
1つ目は、モールによっては商品コードが自動採番されてしまうことです。自社で決めた採番ルールとは無関係に、モール側のシステムが独自のコードを割り振ってしまうケースがあります。
2つ目は、店舗ごとに担当者や運用のタイミングが異なるために、バラバラのルールで登録が進んでしまうことです。自社ECサイトでは規則正しく採番していたのに、モール出店時は急いでいたため適当に登録してしまった、というようなケースです。
3つ目は、規則性のない付番によって、人間が見てもコードから商品を判別できなくなることです。数字を振っただけのコードは、システム上は問題なく動作しても、運用する人間にとっては何を意味するコードなのか分からなくなっていきます。
JANコードで代用できてしまうから、商品コードの崩壊を放置してしまう
ここまで多店舗EC運営に携わってきた方であれば、商品コードとJANコードを混同することはまずないと思います。両者の役割の違いは、すでに理解されている方がほとんどでしょう。
むしろ実務でよく見られるのは、少し違う形の放置です。実際に多店舗ECの現場を見ていて感じるのは、商品コードがぐちゃぐちゃになっていることに担当者自身は気づいているケースが大半だということです。それでも「JANコードを見比べれば同じ商品だと分かるから、今のところは困っていない」という理由で、そのまま放置されてしまいます。
たしかにJANコードがあれば、目の前の2つの商品が同一かどうかは判別できます。しかし、それは商品を1つ1つ人間が突き合わせて確認しているにすぎません。この状態のままシステムでの自動連携や大量のデータ処理を行おうとすると、途端に立ち行かなくなります。JANコードによる代用は、あくまで応急処置であり、商品マスタそのものを整える作業を先送りにしているだけだと捉える必要があります。
崩壊を防ぐ管理術①:SKU単位で付与する
商品マスタを立て直す出発点は、商品コードを必ずSKU単位で付与することです。SKUとは、色やサイズなどのバリエーションまで含めた、それ以上細分化できない最小の管理単位を指します。
商品単位でしかコードを付けていない場合、「Tシャツ=t001」のような登録になり、注文が入っても色やサイズまでは特定できません。これに対してSKU単位で「赤のMサイズ=t001rm」のように採番しておけば、注文内容がそのままコードで管理でき、ピッキングや梱包の際に迷う余地がなくなります。
崩壊を防ぐ管理術②:規則性のある命名ルールを決める
SKU単位での採番と合わせて重要なのが、コードに規則性を持たせることです。ランダムな数字の羅列ではなく、ブランドやカラー、サイズといった情報を一定のルールでコードに組み込んでおくと、コードを見ただけである程度商品を判別できるようになります。
規則性のあるコードは、システムだけでなく人間にとっての読みやすさにも直結します。担当者が変わっても運用ルールが引き継がれやすくなる点も、地味に効いてくるメリットです。
崩壊を防ぐ管理術③:ネクストエンジンで店舗間のコードを紐付けて一元管理する
すでに複数店舗でバラバラの商品コードが定着してしまっている場合、今から全店舗のコードを一から統一し直すのは現実的ではないことも多いでしょう。
そこで役立つのが、EC一元管理システムのネクストエンジンです。ネクストエンジンには商品コードの紐付け機能があり、各店舗の商品コードが統一されていない状態のままでも、SKU単位で紐付けることで在庫連携や受注管理を一括で行うことができます。将来的な理想は統一されたコード体系ですが、まずは紐付け機能で運用を一本化し、並行して新規登録分から規則性のあるルールに揃えていく、という進め方が現実的です。
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商品マスタが整えば、発注点の自動計算だけでなくAI活用の土台にもなる
商品マスタが整うメリットは、日々の運用効率化だけにとどまりません。ネクストエンジンでは、取引先ごとの最低発注数や納期をあらかじめ設定しておくことで、現在庫数と発注点にもとづいて発注のタイミングと数量を自動的に計算し、通知してくれる機能があります。この自動計算も、商品ごとのデータが正しく一意に管理されていることが前提になります。
加えて、弊社が実際にAI活用を検討する現場を見ていて感じるのは、商品マスタの整備状況がAI活用の成否にも直結するという点です。商品検索や需要予測、自動応答といった場面でAIにデータを扱わせる場合、入力となる商品データが一意で一貫していなければ、AIは同じ商品かどうかの判断を毎回推測しなければならず、精度が落ちてしまいます。逆にSKU単位で規則性のあるコードが整っていれば、AIにとっても迷いのない基準点になります。良い商品マスタの設計自体は以前から重要でしたが、AI活用という新しい用途が増えたことで、その重要性がより見えやすくなってきたといえるでしょう。
実務Tips:CSVで商品コードを一括編集する
商品コードのルールを見直す際、1件ずつ手作業で修正していては現実的な時間で終わりません。ネクストエンジンをはじめとする多くのシステムでは、商品データをCSV形式で書き出し、表計算ソフト上で一括編集してから再度取り込む、という方法が使えます。
例えば商品コードの先頭に付けている接頭辞を変更したい場合も、CSV上で対象のセルをまとめて置換すれば、1件ずつ画面を開いて修正する手間を省けます。商品数が数百、数千点になる多店舗運営においては、この一括編集の使い方を知っているかどうかで、整備にかかる工数が大きく変わってきます。
まとめ
商品マスタの崩壊は、担当者の怠慢ではなく、多店舗運営という構造そのものから生まれる問題です。JANコードで代用できてしまうがゆえに後回しにされがちですが、SKU単位での採番、規則性のある命名ルール、そしてネクストエンジンによる店舗間コードの紐付けという3つの管理術を押さえることで、着実に立て直すことができます。
さらに、整った商品マスタは発注点の自動計算やAI活用の土台としても効いてきます。今のうちに整備しておくことが、将来の業務効率化にもつながります。
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